17-2. くし形電極 †

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NTT生活環境研究所が開発した微小くし形電極を紹介します。極微量物質の検出や反応挙動を観察するため微小電極を用いた電気化学分析が報告されています。この微小電極は、絶縁基板上にリソグラフィー技術を用いて微小電極パターンを作成したものです。
電極形状は、下記に示す構造です。くしの対本数は65本です。それぞれの電極は酸化電極、還元電極として働きます。

■特長■
- 高感度CV測定
- 微量サンプルの電気化学測定
- 小型集積化
- 高速応答性
- 導電率測定

■応用■
- 液体クロマトグラフィー用電極
- 電気化学計測用電極
- バイオセンサー・化学センサー
- 化学修飾電極
- 化学反応工程管理用電極
| カタログNo. | 品名および明細 | 幅(μm) | 間隔(μm) | 長さ(mm) | 対本数 |
| 012125 | くし形電極 Au | 10 | 5 | 2 | 65 |
| 012126 | くし形電極 Pt | 10 | 5 | 2 | 65 |
| 012127 | くし形電極 C | 10 | 5 | 2 | 65 |
| 012128 | くし形電極 ITO | 10 | 5 | 2 | 65 |
| オプション | |||||
| 011066 | くし形電極ケーブルキット | ||||
| 011464 | 参照電極用銀塩化銀インク(2mL) | ||||
011064 くし形電極Au 10μm は 012125
011915 くし形電極Pt 10μm は 012126
011917 くし形電極C 10μm は 012127
011872 くし形電極ITO 10μm は 012128 へ製品移行いたしました。
■外形寸法■
![]() | 基板寸法 | |
| 幅 | 12.0±0.1 mm | |
| 縦 | 20.0±0.1 mm | |
| 厚さ | 0.5 mm | |
| 電極の膜厚 | ||
| Au | 90 nm | |
| Pt | ||
| C | 1.2±0.1 μm | |
| ITO | 100 nm | |
| 接着層および絶縁膜の膜厚 | ||
| Ti | 10 nm程度(※AuとPtのみ) | |
| 絶縁膜 | 1 μm程度 | |
■測定方法のご紹介(動画: WMVファイル 7.94 MB)■
くし形電極にレドックスサイクルを発生させ高感度検出を行うには、デュアルポテンショスタットが必要です。ALSモデル700Cシリーズ、800Bシリーズなどが最適です。また、くし形電極の参照電極部分に銀塩化銀インクを塗布すると基準電位が安定します。
■くし形電極取扱いの注意■
くし形電極の対極面積は作用極に比べて大きいことが理想です。大きな面積部分(図中のカウンター極)を参照極にしても問題はありませんが、濃度の高いサンプルをシングルモードで使用しますと、対極に過電流が流れることがあり、測定に影響することが考えられます。参照極とカウンター極の配線にご注意下さい。
参照電極用銀塩化銀インクを使用する際、参照極の面積が小さいので注意が必要です。ただし、くし形電極をサンプルに浸漬して使用する場合、カウンター電極を別に用意すれば、取り扱いが容易なカウンター極側に銀塩化銀インクを塗布しても構いません。
サンプルを分析窓に滴下して測定する場合は、銀塩化銀インクは必ず参照極に塗布し、配線を間違えないで下さい。
くし形電極によるCV測定 †
くし形電極はバンド電極の集合体に加えて2つの電極をかみ合わせて配置(ジェネレーター電極とコレクター電極)することにより、下図に示す電気化学的なレドックスサイクル反応が電極上で発生します。このようなレドックスサイクリングが発
生すると見かけ上電流値が増大し感度が向上します。また、試料溶液の量を極端に少なくすると電解により試料は消費されてしまうことになりますが、くし形電極では酸化還元反応が繰り返されるので、測定の目的物質は枯渇することはありません。
![]() | ||
| キーワードは拡散と濃度勾配 サンプル溶液中の酸化還元される物質は電極表面まで拡散により輸送されます。拡散とは濃度の濃い方から薄い方に分子種が移動する物理現象です。 くし形電極は65対のマイクロバンド電極の集合体です。マイクロバンド電極上ではかまぼこのような半円筒形状の拡散となり準定常状態をとります。このバンド電極を交互に噛み合わせるとレドックスサイクルが発生し(右上図参照)、定常な濃度勾配がただちに形成され、高速で高感度な測定が可能となります。レドックスサイクルが発生すると、サンプル量が少なくても酸化還元反応が繰り返され常に濃度勾配のある状態が保たれるわけです。 →詳細はこちら シングルモードでは、サンプル濃度が低い場合、徐々に濃度勾配が少なくなり電流値が低下してしまいます。 | ||
| 実際にALSモデル802B デュアル電気化学アナライザーで計測したデータをご紹介します。電極はくし形電極Auを使用しました。デュアルモードによる計測では、シングルモードに比べて約30倍ほど電流値が増大していることがわかります。 | ![]() | |

フェロセンサンプル10μL(a)(c)、0.2μL(b)(d)をくし形電極に滴下して得られたボルタモグラムを示します(下図)。レドックスモード(a)(b)とシングルモード(c)(d)での応答の違いがはっきり分かります。(a)(b)においてはジェネレーター電極での酸化電流の増大に伴い、コレクター電極での還元電流の増大が明らかに分かります。(d)において、応答が極端に小さくなるのは、測定により目的物質が消費されてしまったためです。

※「くし形電極」、「くし型電極」、表記としてはどちらも間違いではありませんが、ビー・エー・エスでは「くし形電極」と表記を統一しております。これは電極の形状が”くし”の形をしていることに由来しているためです。また、IDA(Interdigitated Array)電極という場合もあります。
関連ページ †
参考書籍 †
- 「微小電極を用いる電気化学測定法」 社団法人電子情報通信学会
電極を微小化することによって思わぬ長所が電気化学計測の分野で見いだされている。本書は電気化学測定に縁遠い人にもわかるよう、その基礎から応用まで紹介する。
微小電極電気化学の基礎/微小電極の作製法/測定法の基礎/高分子化学への応用/光電気化学への応用/バイオケミストリーへの応用/フロー分析への応用/極限状態での測定
(社団法人電子情報通信学会の書籍紹介ページより引用)
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