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電気化学における基礎と応用を解説した内容です。
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その1:ポテンショスタットについて

電気化学測定において欠かすことのできないものはポテンショスタットであろう。ありふれたポテンショスタットの中身を知っているのと、そうでないのとでは、大分差があるであろうし、前回、対極と作用電極の差異の理解にはポテンショスタットの理解が役に立つと述べたこともあって、今回はポテンショスタットの動作原理と役目についてふれよう。
ポテンショスタットにはオペアンプが用いられる。オペアンプの詳しい解説は省いて、概略だけで済ます。オペアンプは三角印で、-と+の2入力と1つの出力端子で表す。大きな直流ゲインを持ち、入力インピーダンスが大きく、出力インピーダンスの小さな、増幅度の大きなアンプであることが特徴であり、通常、出力側から入力側へ帰還をかける構成で種々の演算を行うことができる(加算、減算、微分、積分、ボルテージホロワーなどのインピーダンス変換等)。結果として、2入力端への電流の出入りはなく(入力インピーダンスが非常に大きいので)かつ2つの入力端は同じ電圧になる(2つの入力端子間の電位差はゼロ)の2点を記憶しておれば、大抵の回路構成がわかる。

ポテンショスタットは最少2つのオペアンプの組み合わせで構成できる。
オペアンプのこれらの特徴のおかげで、ポテンショスタットは最少2つのオペアンプの組み合わせで構成できる(上図、破線の円はセル、W、C、Refはそれぞれ、作用電極、対極、参照電極)。
ポテンショスタットの基本的な機能は3つに要約される。 それは
①作用電極の電位を参照電極に対して規制する。
②作用電極に流れる電流を測る。 
③参照電極には電流は流さない。 
この3つです。
先ず機能の。外部からかける電圧(設定電位、印加電位) ei はそのまま参照電極にかかる電圧です(何故ならOp-1の両入力端の電圧は等しいはずだから)。一方、作用電極の電圧はアース電圧です(+入力端は接地、-入力端は浮いているが2つの入力端は同電位だから、接地と等価な電位になる。これをバーチャルグランドと称する)。すなわち、参照電極に対して作用電極は -ei の電位にあることになる。これで機能の①作用電極の電位を参照電極に対して規制する、が成立することになる。
機能はOp-2では作用電極に流れる電流 i に比例した電圧を出力する回路であることから、②作用電極に流れる電流を測る、が成り立つ。
参照電極はOp-1のマイナス入力端に単独でつながっています。入力端のインピーダンスは極めて大きなため電流は流れることができない。すなわち、③参照電極には電流は流さない、が成り立つことになる。 以上がポテンショスタット3つの基本機能である。
このように見てくると、対極と作用電極は回路的に全く異なる箇所に接続されなければならないことが分かります。2電極方式では対極と作用電極の区別がつき難いがポテンショスタットを用いる3極式では明確に区別されると前回述べたのはこのことです。


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